地震

地震が少ない県はどこ?知っておきたい地震リスクと備え

地震の発生が少ないとされる地域に住めば、安全に暮らせるのではないかと考える方は多いでしょう。実際、気象庁の地震観測データから「地震が少ない」とされる県は存在します。

しかし、過去の大地震の事例や将来予測される巨大地震を考えると、「地震が少ない=安全」とは言い切れません。本記事では、地震が少ない県の傾向や理由をデータに基づいて解説し、南海トラフ・相模トラフなどの影響も踏まえて地域ごとの特徴を紹介します。併せて、家庭や住宅でできる備えとして、耐震・免震・制震(制振)などの地震対策も分かりやすくご紹介します。

地震が少ない県ランキングはどうなっているの?

1919年1月1日~2025年10月1日(計測開始~現在まで)の気象庁の「震度データベース検索」によると、震度4以上の地震発生回数が少ない県は次のとおりです。

1位:佐賀県(16回)

九州北部に位置し、周辺に大きな活断層が少なく、プレート境界からも距離があります。
地震活動が比較的穏やかで、揺れによる被害が少ない地域です。

2位:岡山県(19回)

瀬戸内海沿岸にあり、地盤が安定していることから地震・台風・洪水いずれの発生率も低め。
「災害の少ない県」として全国的にも知られています。

3位:富山県(23回)

日本海側の堅固な地盤を持つ地域で、地震による揺れが増幅しにくいのが特徴。
津波リスクも限定的で、総合的な災害リスクが低い県です。

4位:滋賀県(25回)

内陸に位置し、プレート境界から離れた安定した地盤を有しています。
琵琶湖を中心とした平野部は軟弱地盤もありますが、震度4以上の発生頻度は全国的に見ても少なめです。

5位:香川県(26回)

南海トラフ震源域に比較的近いものの、瀬戸内海の地盤が揺れを緩和しています。
地震の発生回数は少なく、温暖で穏やかな地勢が特徴です。

5位:大阪府(26回)

大都市圏ながら震度4以上の地震は限定的。
耐震・制震(制振)技術の普及により、建物被害を抑制する都市型防災が進んでいます。

7位:島根県(29回)

山陰地方に位置し、プレート型地震の影響を受けにくい内陸地形。
発生する地震の多くは浅い内陸型で、局地的な揺れにとどまります。

8位:徳島県(30回)

南海トラフの震源域に隣接していますが、地震観測回数は意外と少なめ。
瀬戸内側の安定した地盤に支えられ、揺れの影響を受けにくい地域です。

8位:福岡県(30回)

九州北部に位置し、地盤が安定していることから地震被害が比較的小さい地域。
地震が発生するのは局地的な内陸型地震が中心です。

10位:奈良県(31回)

内陸盆地のためプレート境界から距離があり、揺れが増幅しにくい地形。
周囲の山地が地震波を分散させ、比較的穏やかな揺れにとどまる傾向があります。

地震発生に地域差が生まれる要因とは?

地震の発生頻度には地域差があり、以下の要因が影響しています。

プレート境界からの距離

太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込み帯から遠い地域では、海溝型地震の直接的な影響を受けにくい傾向があります。ただし、内陸直下型地震のリスクは別途考慮が必要です。

活断層の分布

活断層の密度が低い地域では、内陸直下型地震の発生確率が相対的に低くなります。しかし、未知の活断層や海溝型地震の影響は常に存在します。

地盤の特性

固い岩盤地帯では地震波が増幅されにくく、震度が小さく感じられる場合があります。一方、軟弱地盤では揺れが増幅されるため注意が必要です。

重要なのは、「地震が少ない地域=安全」ではないという認識です。過去には想定外の地域で大地震が発生した事例も多数あります。

南海トラフや相模トラフ地震の影響

日本の地震リスクを考える上で、特に注意が必要なのが「南海トラフ地震」と「相模トラフ地震」です。いずれもマグニチュード8~9クラスの巨大地震が想定されており、発生すれば広範囲に強い揺れをもたらす可能性があります。

南海トラフ地震の影響

まず、南海トラフ地震は、フィリピン海プレートが日本列島の下に沈み込むことで発生します。想定震度は、四国から東海、近畿、九州南部の太平洋側を中心に震度6強~7に達するとされています。一方で、日本海側や内陸部の県(例:鳥取・島根・岡山・福井など)は、震度5強前後と想定され、相対的に影響が小さい地域とされています。

相模トラフ地震の影響

次に、相模トラフ地震は、関東南部の相模湾沿いで発生が想定されるプレート型地震です。

首都圏を中心に震度6以上の揺れが予測されており、神奈川・東京・静岡東部では特に警戒が必要とされています。一方で、東北地方や中部以西の県(例:新潟・富山・鳥取・佐賀など)は、このトラフの影響をほとんど受けにくい地域に分類されます。

また、地震の被害は「震源との距離」だけでなく、「地盤構造」「地形」「建物密集度」によっても変わります。たとえ震度が小さくても、軟弱地盤や埋立地では揺れが増幅されることがあります。逆に、硬い地盤の地域では震度が同じでも体感する揺れが小さく済む場合もあります。

つまり、「南海トラフや相模トラフの影響が少ない県=完全に安全な県」ではありません。巨大地震が発生した際は、全国的に揺れや津波、停電などの影響が広がる可能性があります。地震の少ない地域であっても、住宅の耐震化や家庭の備えを進めておくことが、もっとも現実的なリスク対策といえるでしょう。

地震が少ない県に住めば本当に安心なの?

地震の少ない地域に住んでいれば安心、という考え方は一見もっともらしく思えます。

しかし実際には、「地震が少ない」ことと「安全である」ことは必ずしも一致しません。

地震が少ない地域でも「想定外の大地震」は起こり得る

例えば、過去の事例を見ても、地震発生件数が少ない地域で突発的に大地震が起きたケースがあります。代表的なのが、1995年の阪神淡路大震災や2000年の鳥取県西部地震・2016年の熊本地震・や2024年の能登半島地震です。

これらの地域は、それまで大規模地震の少ないエリアとされていましたが、想定を上回る揺れによって住宅やインフラが大きな被害を受けました。つまり、発生頻度が低い地域でも「例外的な一度」で甚大な被害が出る可能性はあるのです。

さらに、地震が少ない地域でも、豪雨・洪水・土砂災害などほかの自然災害リスクを抱えていることがあります。特に岡山県や福岡県などは地震が少ない一方で、近年は集中豪雨による浸水被害が増加しています。地震リスクが低いからといって、すべての災害から安全というわけではありません。

「地震が少ない県」ほど防災意識を高めることが大切

また、「地震経験が少ないこと」がかえって防災意識の低下につながる場合もあります。家具の固定、避難経路の確認、非常食の備蓄などの対策が後回しになり、いざというときに対応が遅れるケースも少なくありません。

したがって、地震の少ない県に住むことは安心材料の一つではありますが、「備えが不要」という意味ではありません。発生確率が低い地域ほど、「もしもの一度」に備えておくことが、真の安全につながります。

地震が少ない県でも家庭でどんな備えをすればいいの?

地震の少ない地域に住んでいても、万が一に備えた準備は欠かせません。揺れの経験が少ない地域ほど、家具の転倒や停電・断水などの影響を想定しにくく、被害が拡大するケースがあります。日常生活の中でできる備えを整えておくことで、いざというときの安心感が大きく変わります。

では、どんな備えをしておくと安心なのでしょうか? ここでは、家庭でできる3つの基本的な対策を紹介します。

家具や家電の固定

もっとも取り組みやすいのが、家具や家電の固定です。タンスや冷蔵庫、本棚などの大型家具は、転倒防止金具やストッパーを使ってしっかり固定しておきましょう。特に寝室まわりは注意が必要で、就寝中に倒れてこない配置を心がけることが大切です。

非常食と水の備蓄を3日分以上準備

次に、非常食や水の備蓄も重要です。地震が発生すると、物流が一時的に止まり、スーパーやコンビニの商品が手に入りにくくなります。3日分以上を目安に、水・レトルト食品・カセットコンロなどを備えておくと安心です。また、備蓄した食料や水は定期的に入れ替え、消費期限を確認しておきましょう。

家族で避難ルールと連絡手段を共有

さらに、家族間の連絡手段や避難ルールをあらかじめ決めておくことも有効です。携帯電話がつながらない場合を想定し、安否確認の方法や避難場所を共有しておきましょう。小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、防災リュックなどに必要な医薬品や常備品を準備しておきます。

このように、家庭内の備えは「家具の安全確保」+「食料と水の備蓄」+「家族の連携」の3つを基本に整えることが大切です。地震の少ない県であっても、こうした備えを日常的に意識しておくことで、想定外の災害時にも落ち着いて対応できるでしょう。

住宅の地震対策は耐震・免震・制震(制振)のどれを選ぶべき?

住宅の地震対策の基本は「耐震」です。その上で、さらに揺れを抑える技術として「免震」や「制震(制振)」があります。これらの違いが分かりにくいという方も少なくありませんが、それぞれの仕組みと特徴を理解することで、自分の住まいに合った方法を選びやすくなります。

耐震構造

まず、耐震構造は「建物を強くして壊れにくくする」考え方です。柱や壁などの構造を補強し、揺れに耐える力を高めます。コストを比較的抑えやすい点が特徴です。ただし、地震のエネルギーをそのまま受け止めるため、揺れが大きくなるほど家具の転倒や内装の損傷が起きやすくなります。

免震構造

次に、免震構造は「揺れを伝えない」仕組みです。建物と地盤の間に特殊な装置を設置し、地面の揺れを建物に伝わりにくくします。

震度7クラスの地震でも建物の変形を抑えられる高い効果がありますが、施工コストが高く、土地条件によっては導入できない場合もあります。

制震(制振)構造

そして、近年注目されているのが制震(制振)構造です。制震(制振)は、耐震構造を基礎として、建物の内部に「ダンパー」と呼ばれる装置を取り付け、揺れのエネルギーを吸収して建物全体の動きを抑える仕組みです。

耐震のように構造を強くするのではなく、「しなやかに受け止める」ことでダメージを軽減します。繰り返し起きる中小規模の地震にも効果があり、コスト面でも免震構造より導入しやすい点が評価されています。

住宅に合わせた「組み合わせ」と選び方のポイント

耐震構造を基本として、その上に制震(制振)を加えることで、強度と揺れの吸収の両立が可能になり、より実用的な地震対策として注目されています。

それぞれの特徴を理解した上で、住宅の築年数・立地・予算に合わせて最適な方法を検討することが大切です。

住宅の地震対策で注目される制震ダンパー(制振ダンパー)とは?

地震の揺れを抑える技術として、近年特に注目を集めているのが「制震ダンパー(制振ダンパー)」です。

ここからは、制震ダンパー(制振ダンパー)の基本原理や種類について解説していきます。

制震ダンパー(制振ダンパー)の仕組みと基本原理

制震ダンパー(制振ダンパー)は、地震による揺れのエネルギー(振動エネルギー)を吸収する役割を担っています。建物の柱や壁の内部に設置され、金属やオイル、ゴムなどが変形・流動することで、地震の衝撃を熱エネルギーとして逃がします。これにより、建物全体の変形や損傷を抑え、室内の家具転倒や構造部材の破損を軽減する効果があります。

特に制震(制振)構造は、繰り返し発生する中規模地震にも有効で、耐震構造のように「一度では壊れない強さ」ではなく、「何度起きても壊れにくいしなやかさ」を実現します。

制震ダンパー(制振ダンパー)の種類と特徴

制震ダンパー(制振ダンパー)には、主に以下の3種類があります。

  • 油圧式(オイル)ダンパー:自動車のサスペンションと同じ原理を利用し、シリンダー内のピストンがオイルを押し流す際の粘性抵抗によって揺れを吸収します。微小な揺れから大きな揺れまで幅広く対応でき、繰り返しの揺れにも耐久性が高い点が特徴です。一般的な油圧式(オイル)ダンパーでは地震を完全に防ぎきることは難しいとされていますが、高性能な油圧技術を用いたシステムでは高い減衰力を発揮し、余震などにも安定した効果を発揮するものもあります。ただし、設置にはスペースの確保や高度な設計が求められる場合があります。
  • ゴム系ダンパー:特殊な粘弾性ゴムや合成樹脂の伸縮・粘性抵抗を利用し、地震エネルギーを熱に変換して吸収します。軽量かつ柔軟で、中小規模の地震や余震など繰り返しの揺れに強く、低層や木造住宅との相性が良い点が特徴です。ただし、温度変化や経年で劣化しやすく、一度損傷した場合は交換が必要となるため、メンテナンス性には課題があります。
  • 鋼材系ダンパー:金属の塑性変形を利用して揺れを吸収するタイプです。鋼材が地震の強い揺れで降伏する際に、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収します。構造が単純で比較的安価、かつ温度変化や経年劣化が少なく耐久性が高い点が特徴です。大地震で特に高い減衰効果を発揮しますが、一度大きく変形すると回復が困難で、繰り返しの揺れによる金属疲労の可能性があります。

これらはそれぞれ特性が異なり、建物の構造・立地・予算によって最適なタイプを選ぶことが重要です。

なお、制震ダンパー(制振ダンパー)は建物の壁の中に設置されるため、設置後の点検やメンテナンスは基本的にできません。そのため、製品を選ぶ際は長期的な耐久性と性能維持が重要なポイントとなります。

新築住宅におすすめの制震ダンパー(制振ダンパー)「MER SYSTEM」

制震(制振)技術の応用製品として評価されているのが、日本制震システム株式会社の「MER SYSTEM(エムイーアールシステム)」です。

この制震ダンパー(制振ダンパー)は、油圧式(オイル)ダンパーを知り尽くした世界に誇るヤマハモーターハイドロリックシステムと共同開発した製品で、以下の特徴を持っています。

多方向の揺れに対応:用途に応じて選べる2タイプ

  • Cross Type(壁内設置型):柱と梁に設置し、横方向やねじれの揺れ、共振に効果的
  • Base Type(基礎設置型):基礎と土台の間に設置し床下から効果を発揮、横揺れ・縦揺れの両方に対応

高い耐久性

  • 耐久年数約60年~70年(20年保証)、メンテナンスフリー
  • ヤマハ社の特許技術を採用

高い安全性

  • 大地震から微振動まで様々な揺れを100年間想定した耐久テストをクリア
  • オイル漏れを防ぐ長寿命タイプのOリングを採用

幅広い適用:基本的には新築住宅への導入が推奨されますが、Cross Typeはリフォームに対応可能。在来工法・2×4工法に対応

繰り返し地震への耐性:余震を含む複数回の地震にも効果を発揮

制震(制振)技術は年々進化しており、住宅向けにもさまざまなタイプの製品が開発されています。

日本制震システムの製品の詳細はこちら

このように、建物の状況に適した制震(制振)技術を選ぶことで、繰り返しの地震による劣化や損傷を最小限に抑えることができます。

地震の少ない県であっても、揺れのリスクをゼロにすることは不可能です。だからこそ、建物の被害を現実的に減らす方法として、制震ダンパー(制振ダンパー)は今後ますます重要な存在になるでしょう。

まとめ|地震の少ない地域でも備えが本当の安心をつくる

地震の発生回数が少ない県であっても、「安全」と「無関係」ではありません。地震の少ない地域ほど、防災意識が薄れやすく、いざというときに被害が大きくなる傾向があります。

そのため、「揺れを完全に防ぐ」のではなく、「被害を最小限に抑える」ための現実的な備えが欠かせません。住宅の地震対策としては、耐震・免震・制震(制振)の特徴を理解し、建物の構造や立地、そして予算に合わせて最適な組み合わせを選ぶことが大切です。

特に近年は、新築時に制震ダンパー(制振ダンパー)を導入する住宅が増えており、建物の設計段階から地震対策を組み込むことが一般的になっています。さらに、家庭での備蓄・避難計画・家具固定といった日常的な備えを整えることで、「もしもの一度」にも落ち着いて対応できる力が備わります。

地震の少ない地域に暮らしていても、「災害に強い家づくり」と「日常の備え」を両立させることが、真の安心への第一歩です。

SUPERVISOR 監修者
高橋 治

高橋 治(Osamu Takahashi)

東京理科大学 工学部 建築学科 教授
/博士(工学) /構造設計一級建築士/
構造計算適合判定資格者/建築構造士

1991年、東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社構造計画研究所を経て、現職に至る。専門は建築構造設計、免震・制振技術。
「建物の安全と快適性を、革新的な技術で両立させる」ことを信条に、建築用オイルダンパーや三次元免震システムなど、最先端の耐震・免震技術の研究開発を牽引する第一人者。
日本建築学会賞(技術)や日本免震構造協会協会賞(技術賞)など受賞多数。大学発ベンチャー「株式会社サイエンス構造」の代表も務める。
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