耐震リフォームの費用はいくら?工法別の相場・工事期間と、負担を軽くする補助金・税制ガイド

頻発する地震のニュースを見るたびに、「我が家は大丈夫だろうか」「もし耐震リフォームをするなら、いくらかかるのだろう」と気になる方は多いのではないでしょうか。耐震リフォームは、地震による建物の倒壊を防ぎ、大切な家族の命と暮らしを守るための備えです。一方で、費用や工事の規模が分かりにくく、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくありません。
この記事では、耐震リフォームが必要な家の見分け方から、工法ごとの費用相場と工事期間、負担を軽くする補助金・ローン・税制、そして信頼できる業者の選び方までを、できるだけ分かりやすく整理します。読み終えるころには、「まず何をすればよいか」が見えているはずです。
この記事で解決できるお悩み
- 自宅の耐震基準がわからない
- 旧耐震の家に住むのが不安
- ローン控除が使えるか不安
- 耐震補強の費用や方法を知る
耐震リフォームが必要な家とは?まずはセルフチェック
はじめに、ご自宅が耐震リフォームを検討したほうがよい家かどうか、いくつかのポイントでセルフチェックしてみましょう。一つでも当てはまる場合は、専門家による耐震診断を受ける価値があります。
築年数でチェック―「2000年以前」が一つの目安
最初の目安は、建てられた年代です。1981年(昭和56年)5月31日までのいわゆる旧耐震基準で建てられた住宅は、現在の基準より想定する地震が小さく、耐震性が不足していることが多いため、とくに注意が必要です。さらに、木造住宅では2000年(平成12年)にも基準が見直され、地盤調査や柱の接合部を金物で固定することなどが追加されました。そのため、2000年5月以前に建てられた木造住宅も、診断の対象として補助制度を設ける自治体が増えています。「築40年前後」「2000年より前に建った木造」という場合は、一度立ち止まって確認してみましょう。
間取り・状態でチェック―壁・開口部・劣化・屋根
築年数だけでなく、間取りや建物の状態にも目を向けてみてください。たとえば、1階に壁が少なく、大きな窓や掃き出し口など開口部が多い間取りは、横からの力に弱い傾向があります。また、過去にシロアリの被害や雨漏りがあった家は、柱や土台が傷み、本来の強さを発揮できないことがあるでしょう。屋根に重い瓦が載っている家は、地震のときに建物が大きく揺さぶられやすくなります。これらに心当たりがあれば、「我が家も補強が必要かもしれない」と考えてみる価値は十分にあります。
>関連記事:【警告】「耐震基準クリアで安心」の罠!新旧の違いと真の地震対策
耐震リフォームの費用相場と工事期間
ここからは、いちばん気になる費用と工事期間を、全体の相場と工法別に見ていきます。結論からいえば、木造一戸建ての耐震リフォームは150万円前後が一つの目安ですが、工事の内容によって幅があります。
全体の費用相場と工事期間の目安
木造一戸建ての耐震リフォームの費用は、工事内容によって25万円から200万円程度まで幅があり、平均すると150万円前後が目安です。木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の調査では、耐震補強工事をした人の平均は167万円で、工事費用が150万円未満に収まった人が過半数を占めています。なお、旧耐震基準の家は新耐震基準の家より費用が高くなる傾向があり、両者の平均にはおよそ37万円の差があります。構造から全体を見直す大がかりな改修では、350万円から800万円ほどになることもあります。
工事期間は、壁の補強や金物による補強なら1週間から2週間、全体に及ぶ場合でも、おおむね10日から1か月程度が目安です。構造をすべて見直すスケルトン改修では2か月以上かかることもあり、その間は仮住まいが必要になる場合もあります。
(出典:木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)「耐震補強工事の方法」)
工法別の費用と内容―壁・基礎・屋根
代表的な工法ごとに、内容と費用の目安を見てみましょう。まず壁の補強は、最も一般的な方法です。筋交いや構造用合板を使って耐力壁を増やし、壁の配置のバランスを整えることで、地震の力に耐えられるようにします。木耐協のアンケートでも、内側の壁から補強する方法を選んだ人が多数を占めています。費用は補強する箇所の数によりますが、壁の補強が中心であれば数十万円程度で収まることもあります。
次に基礎の補強は、ひび割れをエポキシ樹脂で埋める比較的軽い補修から、鉄筋の入っていない古い基礎にコンクリートを抱かせる本格的な補強まで幅があり、後者では数十万円から100万円を超えることもあります。屋根の軽量化は、重い瓦を金属屋根などの軽い屋根材に葺き替える工事で、建物が軽くなることで地震のときに有利になります。瓦の撤去や処分に手間がかかるため、屋根の面積によって幅がありますが、瓦からの葺き替えではおおむね150万円から250万円程度が目安です。
「制震ダンパー(制振ダンパー)」を組み合わせるという選択肢
耐震補強で建物の強さを確保したうえで、さらに繰り返しの揺れに備えたい場合に検討されるのが、制震ダンパー(制振ダンパー)による補強です。地震対策は、まず揺れに「耐える」耐震が土台になりますが、本震のあとの余震など、揺れが何度も続くと建物には負担が積み重なります。制震ダンパー(制振ダンパー)は、地震の揺れのエネルギーを吸収する装置で、繰り返しの揺れによる損傷を防ぎ、地震のあとも住み続けやすくする効果が期待できます。
後付けの場合は、内装の解体や復旧を含む工事になります。製品や必要な本数、工事の範囲によって内容が変わるため、具体的な費用は施工会社による見積もりで確認することが大切です。大きな地震のあとも住み慣れた自宅で暮らし続けやすくなることを考えれば、耐震に制震(制振)を重ねる価値は十分にあります。
予算に合わせた「部分補強」という考え方
「家全体を一度に直すと、莫大な費用がかかるのでは」と心配される方も多いと思います。しかし、耐震リフォームは必ずしも家全体を一度に行う必要はありません。耐震診断の結果をもとに、評点の低い部分や、1階の弱い壁など優先度の高い箇所から段階的に補強する「部分補強」という進め方もあります。予算に合わせて計画を立てれば、負担を小さくしながら着実に安全性を高められます。まずは診断を受けて、どこにどれだけ費用をかけるべきかを把握することが、無駄のない第一歩になります。
>関連記事:耐震補強の費用はいくら?相場・内訳・補助金と、併せて考えたい地震対策
費用負担を軽くする補助金・ローン・税制

耐震リフォームの大きなハードルとなる資金面は、公的な制度を上手に使うことで、負担を大きく軽くできます。代表的な3つの方法を整理します。
自治体の補助金・助成金
多くの市区町村では、旧耐震基準の木造住宅などを対象に、耐震診断を無料または低額で受けられる制度や、補強工事への補助金を用意しています。診断士を無料で派遣してくれる自治体も多く、まずはこの制度を使うことが、費用負担を軽くする出発点になります。近年は、2000年以前の比較的新しい木造住宅まで対象を広げる動きもあります。補助の金額や条件は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村の窓口やウェブサイトで最新の内容を確認してください。
金利が有利なリフォームローン
工事費を借り入れる場合は、リフォームローンの選び方で負担が変わります。住宅金融支援機構の「リフォーム融資(耐震改修工事)」は、耐震改修・耐震補強の工事に使える融資で、全期間固定金利で比較的低金利、融資限度額は1,500万円です。満60歳以上の方には、生きている間は利息のみを返済する「高齢者向け返済特例」も用意されています。民間の金融機関でも、耐震や省エネのリフォームに金利の引き下げを設けた商品があります。複数を比べて、無理のない返済計画を立てましょう。
耐震改修促進税制(所得税・固定資産税)
税金の優遇も見逃せません。旧耐震基準の住宅を現行の耐震基準に適合させる耐震改修を行うと、標準的な工事費用相当額(上限250万円)の10パーセント、最大で25万円ほどが所得税から控除される特別控除を受けられる場合があります。あわせて、一定の要件を満たす耐震改修を行うと、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額される措置もあります。適用には期限や要件があり、制度改正で変わることもあるため、工事の前に最新の内容を確認しておくと安心です。
(出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」「リフォーム促進税制〔所得税・固定資産税〕」・住宅金融支援機構「リフォーム融資〔耐震改修工事〕」)
>関連記事:地震対策「耐震・制震・免震」の決定的な違いとは?特徴・費用・選び方を完全ガイド
失敗しない業者選びのポイント
耐震リフォームの成否は、依頼する業者の見極めで大きく変わります。次のような点を確認しましょう。
「木造住宅耐震診断士」と施工実績を確認する
耐震診断は、建築士(一級・二級・木造建築士)が、一般財団法人 日本建築防災協会の登録講習を修了したうえで、自治体に登録される「木造住宅耐震診断士」が行うのが基本です。補助金を使う場合は、登録された診断士による診断が前提になることが多いため、こうした資格者が在籍しているかは重要な確認ポイントです。あわせて、耐震補強の施工実績が豊富かどうかも見ておきましょう。木耐協の「耐震技術認定者」が在籍しているかどうかも、一つの目安になります。
デメリットも丁寧に説明してくれるか
信頼できる業者かどうかは、良い面だけでなく、工事に伴うデメリットまできちんと説明してくれるかで見分けられます。たとえば、壁を補強すると窓が小さくなったり、間取りや採光に影響が出たりすることがあります。こうした点を隠さず、対策とあわせて丁寧に説明し、納得できるまで相談に乗ってくれる業者を選びましょう。複数の業者から見積もりと提案を取り、内容を比べることも大切です。
(出典:木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)「耐震の資格「耐震技術認定者」」
>関連記事:制震(制振)構造とは?耐震・免震との違いとメリット・デメリット、導入できる地震対策まで解説
新築・既存住宅におすすめの制震ダンパー(制振ダンパー)「MER SYSTEM」

制震ダンパー(制振ダンパー)にもさまざまな種類がありますが、ここでは制震(制振)技術の応用製品として評価されている、日本制震システム株式会社の「MER SYSTEM(エムイーアールシステム)」をご紹介します。
この制震ダンパー(制振ダンパー)は、油圧式(オイル)ダンパーを知り尽くした世界に誇るヤマハモーターハイドロリックシステムと共同開発した製品で、以下の特徴を持っています。
Cross Type(壁内設置型)

①多方向の揺れに対応
柱と梁に設置し、横方向やねじれの揺れ、共振に効果的なタイプです。建物の構造躯体に設置する高性能な制震ダンパー(制振ダンパー)で、特殊オイル(温度不変)を使用しているため、火災の心配もありません。地震はもちろん、強風(台風)・交通振動にも効果を発揮します。 基本的には新築住宅への導入となりますが、Cross Typeであれば、リフォーム(耐震改修)時にも対応可能です。在来工法・2×4工法に対応しています。
②高い耐久性
- メンテナンスフリー
- ヤマハ社の特許技術を採用
ヤマハ社との共同開発により、メンテナンスフリーを実現しています。壁の中に設置されているため、基本的に点検やメンテナンスはできません。そのため、制震ダンパー(制振ダンパー)を選ぶ際は、耐久性が重要なポイントとなります。
③高い安全性
- 大地震から微振動まで様々な揺れを100年間想定した耐久テストをクリア
- オイル漏れを防ぐ高性能なオイルシールを採用
- 1棟1棟 最適な配置計画と数値的根拠となる計算書のご提出
④繰り返し地震への耐性
余震を含む複数回の地震にも効果を発揮します。地震の揺れに限らず風による超極低速な揺れや、繰り返し発生する地震にも効果を発揮します。

Base Type(基礎設置型)
基礎と土台の間に設置し、1階の床下から効果を発揮するタイプです。横揺れ・縦揺れの両方に対応します。また、電車や大型車等による交通振動にも効果を発揮します。基礎と土台の間に設置する構造上、新築時のみの設置となります。

① 多方向・多種類の揺れに対応
- 「耐震+制震」の相乗効果: 住宅会社様の耐震技術に、地震エネルギーを10〜30%吸収する本製品を組み合わせることで、あらゆる揺れに大きな効果が期待できます 。
- 従来のパッキンの利点を維持: 従来の樹脂製パッキンと同様の通気(換気)性を確保しながら、地震の揺れや衝撃を吸収するプラスのメリットを備えています 。
② 交通振動(縦揺れ)への圧倒的な効果
- 不快な微振動を大幅軽減: 線路や幹線道路沿いで問題となる、トラック・電車・新幹線などによる交通振動を大幅に軽減し、快適な住環境を確保します 。
- 縦揺れへの有効性: 建物へのダメージや住人の心身に影響を与える「縦揺れ」に対しても、基礎下から衝撃を吸収することで優れた効果を発揮します 。
③ 特殊構造による高い安全性と剛性維持
- 特殊鋼板入りのハイブリッド構造: ゴムの中に特殊鋼板を封入することで、荷重に対するゴムの潰れや、水平方向への過度な変形を抑制します 。
- 建物の歪みを防止: 振動や衝撃を吸収することで、柱が土台へめり込むのを軽減し、建物の剛性を長期にわたって維持することが可能です 。
④ 100年先を見据えた耐久性と実績
- メンテナンスフリーの耐久性: 耐久年数100年を誇り、防振性と耐久性に優れた天然ゴムとスチレン・ブタジエンゴムを素材として採用しています 。
- プロが選ぶ信頼の実績: 開発から23年、5万棟以上の導入実績があり、大手分譲系ハウスメーカーでも快適な住環境を提供するための独自の基準として採用されています 。

まとめ:まずは無料の耐震診断・専門家への相談から

耐震リフォームの費用は、工事内容によって幅がありますが、木造一戸建てでは150万円前後が一つの目安です。壁・基礎・屋根の補強に加え、繰り返しの揺れに備える制震ダンパー(制振ダンパー)という選択肢もあり、予算に応じて部分的に進めることもできます。費用が心配な場合も、自治体の補助金やリフォームローン、耐震改修促進税制を上手に使えば、負担は大きく軽くなります。
地震対策に完璧はありませんが、まずはお住まいの自治体が行う無料の耐震診断や、専門家への相談を利用して、ご自宅の現状を知ることが、何より確かな第一歩です。我が家の安全を守る一歩を、今日から前向きに踏み出してみてください。耐震補強や制震ダンパー(制振ダンパー)について詳しく知りたい方は、お気軽に資料をご請求ください。

- SUPERVISOR 監修者
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高橋 治(Osamu Takahashi)
東京理科大学 工学部 建築学科 教授
/博士(工学)
/構造設計一級建築士/
構造計算適合判定資格者/建築構造士 -
1991年、東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社構造計画研究所を経て、現職に至る。専門は建築構造設計、免震・制振技術。
「建物の安全と快適性を、革新的な技術で両立させる」ことを信条に、建築用オイルダンパーや三次元免震システムなど、最先端の耐震・免震技術の研究開発を牽引する第一人者。
日本建築学会賞(技術)や日本免震構造協会協会賞(技術賞)など受賞多数。大学発ベンチャー「株式会社サイエンス構造」の代表も務める。


