地震対策

地震が多い県はどこ?回数に差が出る3つの理由と、少ない県にも潜む大地震リスク

「地震が多い県ランキング」を見て、上位の県に住んでいれば不安になり、下位なら「うちは大丈夫」と安心する——多くの方がそんな見方をしています。しかし、回数の多さだけで住まいの安全性は判断できるのでしょうか。2026年7月には令和8年熊本地震が発生し、地域の地震リスクへの関心はいっそう高まっています。本記事では、地震が多い県に共通する地質的な背景と、回数が少ない県にも潜むリスクを整理したうえで、どの地域でも変わらない「繰り返す揺れへの建物側の備え」まで解説します。

  • 活断層・プレートから地震が多い県を知りたい
  • ランキングが少ない県にも潜むリスクを知りたい
  • 繰り返す大地震の揺れへの備え方を知りたい
  • 住宅の地震対策に制震ダンパーを取り入れたい
目次

地震が多い県はどこ?——震度5弱以上で上位に入りやすい県の顔ぶれ

「地震が多い県」と聞いて、どの県を思い浮かべるでしょうか。実は、過去の地震の回数は、気象庁の「震度データベース検索」で誰でも調べることができます。まずは、強い揺れ(震度5弱以上)で上位に入りやすい県の顔ぶれと、ランキングの見方を整理します。

震度5弱以上で上位に入りやすい県の顔ぶれ

震度データベースをもとにした各種の集計では、震度5弱以上を観測した回数の多い県として、東日本大震災以降の活動が続く福島県・宮城県・岩手県や茨城県、能登半島地震のあった石川県、2016年と2026年の2度にわたり熊本地震を経験した熊本県、トカラ列島近海でたびたび群発地震(同じ地域で短期間に地震が集中して起こる現象)が起こる鹿児島県などが上位に入りやすい傾向があります。また、首都直下地震が懸念される東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県といった南関東も、地震の回数が多い地域です。

順位は集計期間・方法で変わる——数字より「理由」を見る

ただし、こうしたランキングの順位は絶対的なものではありません。「いつからいつまでの期間か」「震度いくつ以上を数えるか」「震源の場所で数えるか、揺れを観測した場所で数えるか」といった集計の条件によって、顔ぶれも順位も変わります。また、大きな地震の直後は余震で回数が急増するため、順位は時期によっても大きく動きます。

大切なのは、順位そのものに一喜一憂することではなく、「なぜその県は多いのか」という理由を知ることです。理由が分かれば、自分の地域で何に備えるべきかが見えてきます。

出典:気象庁「震度データベース検索

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なぜ差が出る?——活断層・プレート境界・大地震後の活動という3つの視点

県ごとの地震回数の差は、偶然ではありません。その土地の地下の構造と、過去の地震活動の歴史が反映されています。ここでは、差が生まれる理由を3つの視点で整理します。

視点①:活断層——令和8年熊本地震と日奈久断層帯

内陸で起こる地震の多くは、活断層のずれによって発生します。全国には約2,000の活断層があるといわれ、その分布は地域によって大きく異なります。2026年7月に発生した令和8年熊本地震は、地震調査研究推進本部の長期評価で地震発生の可能性が最も高いランク(Sランク)とされていた日奈久断層帯で発生しました。2016年の熊本地震も、隣接する布田川断層帯・日奈久断層帯の活動によるものです。活断層の近くでは、こうした内陸型の地震が繰り返されてきた歴史があり、地域の地震回数を押し上げる要因になっています。

視点②:プレート境界——南関東の回数が多い理由

日本列島は、複数のプレート(岩盤)がぶつかり合う場所に位置しています。特に南関東の地下は、陸側のプレートの下に2つの海側のプレートが沈み込む複雑な構造になっており、さまざまな深さ・タイプの地震の震源になりやすいため、回数が多くなる傾向があります。また、太平洋側の海溝沿いは、プレート境界で起こる大規模地震の震源域にあたります。そもそも日本周辺では、世界で発生するマグニチュード6以上の地震のおよそ2割が起きているといわれ、首都直下地震への備えが呼びかけられているのも、こうした構造が背景にあります。

視点③:大地震のあとは、余震・群発地震が長く続く

もうひとつ見逃せないのが、大地震のあとの活動です。大きな地震のあとには余震が続き、規模が大きいほど活動は長引く傾向があります。東日本大震災の被災地である岩手県・宮城県・福島県では、震災から10年以上たった現在も、余震とみられる活動を含め、震災前より活発な地震活動が続いています。能登半島や熊本、トカラ列島近海も同様に、大きな地震や群発地震のあとに回数が増えており、「過去に地震があった地域=今も回数が多い地域」になりやすい構造があるのです。

出典:気象庁「熊本地震から10年 特設サイト

出典:気象庁「令和8年熊本地震 ポータルサイト

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「少ない県」は安心?——ランキングだけでは測れない大地震リスク

では、ランキングの下位にある県は安心してよいのでしょうか。答えは「いいえ」です。回数の少なさと、将来の大地震のリスクは、まったく別の物差しだからです。

南海トラフ——発生確率「最も高いランク」の評価

代表例が、南海トラフ巨大地震です。政府の地震調査委員会の長期評価では、今後30年以内の発生確率が最も高いランクに位置づけられており、2025年9月に発生確率の計算方法が見直された際も、この位置づけは変わりませんでした。南海トラフでは、おおむね100〜150年の間隔で大規模地震が繰り返されてきたとされ、ひとたび発生すれば、静岡県から九州にかけての太平洋沿岸を中心に、甚大な被害が想定されています。

想定震源域でも、直近の回数は少ない地域がある

注目したいのは、この想定震源域にあたる太平洋沿岸の県の中には、直近の震度5弱以上の回数では上位に入りにくい地域も含まれるという点です。つまり、「最近あまり揺れていない県」が、「今後の大地震で大きな被害が想定される県」でもあり得るのです。回数は「これまで」の記録であり、被害想定は「これから」の見通し——2つは別の情報として読む必要があります。

回数と将来リスクは別物——どの地域でも両方に備える

整理すると、回数が多い地域には「繰り返す揺れ」という現在進行形の課題があり、回数が少ない地域にも「いつか来る大地震」というリスクが潜んでいます。そして大地震が起これば、そのあとには余震が続きます。結局のところ、どの地域に住んでいても、大地震とそのあとに繰り返す揺れの両方に備えることが欠かせません。地域の地震回数や活断層の分布は自分では変えられませんが、建物側の揺れにくさは対策できます。次の章で、その考え方を見ていきましょう。

出典:地震調査研究推進本部「「南海トラフの地震活動の長期評価」を一部改訂しました

>関連コラム:【警告】「耐震基準クリアで安心」の罠!新旧の違いと真の地震対策

どの地域でも変わらない備え——繰り返す揺れと制震ダンパー(制振ダンパー)

建物側の備えの土台は、いうまでもなく耐震です。ただし、地震は多くの場合、1回では終わりません。ここでは、繰り返す揺れという視点から、耐震と制震(制振)の組み合わせ方を整理します。

耐震は「土台」——ただし揺れは1回では終わらない

壁量や接合部、構造計算に裏付けられた耐震性能は、大きな揺れから建物を守る土台として不可欠です。一方で、これまで見てきたとおり、大地震のあとには余震や群発地震が続き、揺れの力は繰り返し建物に加わります。耐震が受け止めた揺れの力も、何度も繰り返されるうちに、目に見えないダメージとして建物に蓄積していくおそれがあります。2016年の熊本地震で大きな揺れが短期間に繰り返されたことは、「繰り返す揺れへの備え」の大切さが広く意識されるきっかけにもなりました。

繰り返す揺れのエネルギーを吸収する制震ダンパー(制振ダンパー)

そこで検討したいのが、制震ダンパー(制振ダンパー)です。柱や梁といった建物の構造体に直接設置し、揺れのたびにそのエネルギーを吸収して、建物の変形やダメージの蓄積を防ぐ装置です。製品の中には、余震を含めて繰り返し続く揺れにも効果を発揮し続けるものがあり、「1回では済まない揺れ」への備えとして、地震の多い地域とも、これから大地震が想定される地域とも相性の良い選択肢といえます。

耐震×制震(制振)の組み合わせ方

順序として大切なのは、耐震という土台があった上で、制震(制振)や免震を組み合わせるという考え方です。新築であれば設計段階から計画するのが基本で、既存の住宅で検討する場合は、まず建物の耐震性や劣化の状態を確認することが出発点になります。そのうえで、リフォーム(耐震改修)にあわせて導入できる製品もあるため、専門家に相談してみるとよいでしょう。どの位置に何本設置すれば効果的かは建物ごとに異なるため、計算にもとづく配置計画を示してくれるかどうかも、相談先を見極めるポイントです。

>関連コラム:MER-SYSTEMならスリップ挙動にも対応!

自分の地域・住まいとの向き合い方——確認・診断・相談の3ステップ

「自分の県は何位か」で終わらせず、住まいの備えにつなげるための3つのステップを紹介します。難しいことから始める必要はありません。まずは客観的なデータを知ることからです。

ステップ①:震度データベースとハザードマップで客観確認

気象庁の震度データベース検索を使えば、自分の県や市町村で過去にどのくらいの揺れが観測されてきたかを確認できます。あわせて、国や自治体が公開しているハザードマップで、近くの活断層の有無や想定される揺れの強さも確認しておきましょう。印象ではなくデータで知ることが、備えの第一歩です。

ステップ②:繰り返し揺れを受けた住宅は耐震診断を

過去に大きな地震を経験した住宅や、繰り返しの揺れを受けてきた住宅、旧耐震基準の時代に建てられた住宅では、自己判断せず、専門家による耐震診断を受けることをおすすめします。目に見えるひび割れがなくても、接合部の緩みなどが進んでいる場合があるためです。

ステップ③:診断から施工まで一貫して相談できる会社へ

診断の結果、補強や対策が必要になった場合は、耐震診断から補強設計、制震ダンパー(制振ダンパー)の設置まで一貫して相談できる専門会社に依頼すると、手戻りなく進めやすくなります。建物ごとの計算や配置計画といった根拠を示してくれる会社なら、より安心です。

>関連コラム:旧耐震基準はいつから?新耐震との違い・リスクと安全に住み続けるための対策

新築・既存住宅におすすめの制震ダンパー(制振ダンパー)「MER SYSTEM」

制震ダンパー「MER SYSTEM Cross Type」の製品ポスター。日本制震システム株式会社とヤマハモーターハイドロリックシステム株式会社の共同開発。「備えることは、守ること。」

制震ダンパー(制振ダンパー)にもさまざまな種類がありますが、ここでは制震(制振)技術の応用製品として評価されている、日本制震システム株式会社の「MER SYSTEM(エムイーアールシステム)」をご紹介します。

この制震ダンパー(制振ダンパー)は、油圧式(オイル)ダンパーを知り尽くした世界に誇るヤマハモーターハイドロリックシステムと共同開発した製品で、以下の特徴を持っています。

Cross Type(壁内設置型)

制震ダンパー

①多方向の揺れに対応

柱と梁に設置し、横方向やねじれの揺れ、共振に効果的なタイプです。建物の構造躯体に設置する高性能な制震ダンパー(制振ダンパー)で、特殊オイル(温度不変)を使用しているため、火災の心配もありません。地震はもちろん、強風(台風)・交通振動にも効果を発揮します。 基本的には新築住宅への導入となりますが、Cross Typeであれば、リフォーム(耐震改修)時にも対応可能です。在来工法・2×4工法に対応しています。

②高い耐久性

  • メンテナンスフリー
  • ヤマハ社の特許技術を採用

ヤマハ社との共同開発により、メンテナンスフリーを実現しています。壁の中に設置されているため、基本的に点検やメンテナンスはできません。そのため、制震ダンパー(制振ダンパー)を選ぶ際は、耐久性が重要なポイントとなります。

③高い安全性

  • 大地震から微振動まで様々な揺れを100年間想定した耐久テストをクリア
  • オイル漏れを防ぐ高性能なオイルシールを採用
  • 1棟1棟 最適な配置計画と数値的根拠となる計算書のご提出

④繰り返し地震への耐性

余震を含む複数回の地震にも効果を発揮します。地震の揺れに限らず風による超極低速な揺れや、繰り返し発生する地震にも効果を発揮します。

制震装置

Base Type(基礎設置型)

基礎と土台の間に設置し、1階の床下から効果を発揮するタイプです。横揺れ・縦揺れの両方に対応します。また、電車や大型車等による交通振動にも効果を発揮します。基礎と土台の間に設置する構造上、新築時のみの設置となります。

交通振動に効果のある制震装置

① 多方向・多種類の揺れに対応

  • 「耐震+制震」の相乗効果: 住宅会社様の耐震技術に、地震エネルギーを10〜30%吸収する本製品を組み合わせることで、あらゆる揺れに大きな効果が期待できます 。
  • 従来のパッキンの利点を維持: 従来の樹脂製パッキンと同様の通気(換気)性を確保しながら、地震の揺れや衝撃を吸収するプラスのメリットを備えています 。

② 交通振動(縦揺れ)への圧倒的な効果

  • 不快な微振動を大幅軽減: 線路や幹線道路沿いで問題となる、トラック・電車・新幹線などによる交通振動を大幅に軽減し、快適な住環境を確保します 。
  • 縦揺れへの有効性: 建物へのダメージや住人の心身に影響を与える「縦揺れ」に対しても、基礎下から衝撃を吸収することで優れた効果を発揮します 。

③ 特殊構造による高い安全性と剛性維持

  • 特殊鋼板入りのハイブリッド構造: ゴムの中に特殊鋼板を封入することで、荷重に対するゴムの潰れや、水平方向への過度な変形を抑制します 。
  • 建物の歪みを防止: 振動や衝撃を吸収することで、柱が土台へめり込むのを軽減し、建物の剛性を長期にわたって維持することが可能です 。

④ 100年先を見据えた耐久性と実績

  • メンテナンスフリーの耐久性: 耐久年数100年を誇り、防振性と耐久性に優れた天然ゴムとスチレン・ブタジエンゴムを素材として採用しています 。
  • プロが選ぶ信頼の実績: 開発から23年、5万棟以上の導入実績があり、大手分譲系ハウスメーカーでも快適な住環境を提供するための独自の基準として採用されています 。
交通振動

まとめ:ランキングの数字より、「繰り返す揺れに強い住まい」を

「地震が多い県」には、活断層・プレート境界・大地震後の活動という地質的な理由があります。一方で、回数が少ない県にも、南海トラフ巨大地震のような油断できないリスクが潜んでいます。ランキングの数字に一喜一憂するのではなく、どの地域でも変わらないのは、大地震とそのあとに繰り返す揺れの両方に備えることです。地域の地震回数や活断層は変えられませんが、建物側の揺れにくさは対策できます。まずは震度データベースやハザードマップでの確認と、専門家による耐震診断から始めて、揺れのエネルギーを吸収する制震ダンパー(制振ダンパー)という選択肢も含めて相談してみてください。「MER SYSTEM」の詳しい資料は、日本制震システム株式会社までお気軽にご請求ください。

SUPERVISOR 監修者
高橋 治

高橋 治(Osamu Takahashi)

東京理科大学 工学部 建築学科 教授
/博士(工学) /構造設計一級建築士/
構造計算適合判定資格者/建築構造士

1991年、東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社構造計画研究所を経て、現職に至る。専門は建築構造設計、免震・制振技術。
「建物の安全と快適性を、革新的な技術で両立させる」ことを信条に、建築用オイルダンパーや三次元免震システムなど、最先端の耐震・免震技術の研究開発を牽引する第一人者。
日本建築学会賞(技術)や日本免震構造協会協会賞(技術賞)など受賞多数。大学発ベンチャー「株式会社サイエンス構造」の代表も務める。
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